20070826

キュレーターと編集者


広尾の壁画の本に関する展示を準備していて、ふと展示空間をまとめる作業と本の編集は似ているのかもしれないと思った。ただし本の方は、最終定着するのにコンピューターを使ったデータ処理で行なうことが多いが、展示の方は紙やボードやのりやはさみなどと格闘し(大げさか)手作業で進めていく。さまざまなシュミレーションはパソコンでやるのが便利だけれど、実際のスケール感や体感的なものを確認するには、実物大のものを試作しながらがやはりいい。

データと違ってモノというのはなかなか扱いづらい。予想外のことが起こる。28日からの青山ブックセンター本店での展示に、B1大のパネルを使うのだけれど、この暑さと湿度のせいか、貼った写真に少したわみが出てきた。プリント紙を厚手のものに変えてみたが、紙の厚さはそれほど関係しないようにもみえる。今回の展示では、実物の約1/3の大きさで、壁画の一部を再現するのだが、その大判プリントのサイズが100×300cm3枚分と、巻いて箱詰めしても宅急便で送るのにぎりぎりのサイズ。B1ボードの方は、合計寸法が160cmを超えてしまうため、ゆうパックは扱い外、クロネコヤマトは宅急便ではなくヤマト便になる。こちらは日にち指定ができないということがわかり、手運びした。スチロールボードで軽いので、これが結局早いのだ。乗用車レベルだと、たぶん大きすぎてドアから入らないと思う。

展示空間というのは小さいように見えても、寸法的にはけっこうあるもので、自宅で大きく見えたものが現場に持っていくと、こんなに小ささかったかと思えることもある。ふだん本という小さなものを扱っているので、大きな空間を編集することはとても刺激になる。でも展示に関する知識や技術があまりないので、毎回やるたびに、どうやったら展示物を吊れるか、貼れるか、どんな素材や道具が使えるか、など迷うことは多い。本のことならだいたいのことは想像がつくけれど、展示のほうは、プランは考えられても実現するための技術的方法論のところが素人だ。キュレーターと編集者は、ある空間(場)に対してプランを考えるところまでは似ているけれど、そこから先の専門性が違うということだろう。

青山ブックセンター 本店での展示
「Town Dream / Dream Town」発売記念 
ミヤギユカリ、広尾の壁画展 
会期:2007年8月28日(火)〜9月10日(月) 
会場:青山ブックセンター 本店(tel.03-5485-5511) 
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終了したreading finerefineでの展示の模様