葉っぱの坑夫、秋の新刊。
この夏準備していた2冊の新刊について紹介します。一つは絵本、もう一つは小説です。どちらも葉っぱの坑夫のサイトで連載していたもので、絵本の方は、元になっている本が『南米ジャングル童話集』のタイトルで、全8話収録のテキスト中心のものとして去年出ています。今回の絵本版は、その中から『ワニ戦争』のみをとりあげた、絵を中心にしたものです。小説の方は今年の6月までサイトで連載していた『ディスポ人間』で、この全訳を紙の本と電子書籍(Kindle、Kobo)にします。
『ワニ戦争』はミヤギユカリさんの絵、角谷慶さんのデザインで、40ページ前後のフルカラーの本になります。オンデマンド印刷でフルカラーの本は初めての試みで、どのような仕上がりになるかの実験の要素もあります。アメリカのアマゾンにつづいて、日本でも最近になってフルカラーの印刷が可能になったので、これを試してみたいと思いました。ミヤギさんの絵は、ハーフトーンの少ないくっきりしたメリハリのものが多いので、うまく印刷されるのではないかと期待しています。
『ディスポ人間』は、当初から、サイト上での連載が終わったら、本にしたいことを著者のエゼケル・アランに伝えてありました。ですので連載終了直後に、ペーパーバックと電子書籍にする話を再度もちかけ、合意事項を記した簡易な契約書をつくり、あとは出版の準備をすればいい状態になっていました。サイトで連載していたときは、翻訳もそのときそのときのものになりがちだったので、すべてをプリントして、改めて読み直すことから始めました。(通しですべてを読むこともそうですし、また画面で見ているのと、印刷した紙面で読むのでは、違う発見があります。言葉の足りないところ、誤字だけでなく、かなりの変更、微調整をしました)
『ワニ戦争』は角谷さんにデザインを任せてあるので、レイアウトや素材の扱いなど、形にする作業はありませんが、テキストを短縮する作業が最初にありました。絵本版は絵を中心に、というコンセプトなので、テキストは必要最小限にしたいと思いました。オラシオ・キローガのテキストはそれなりに長いので、思いきってバサバサッと削っていきました。絵と言葉の組み合わせで、効果が出るよう、新たなテキストをつくりました。
『ディスポ人間』の方は、読み返すことで、連載時には気づかなかったちょっとした誤訳や勘違いが2、3ありました。見つければ、サイトの方もその時点で修正を入れました。ひとたび修正の入ったテキストは、InDesignというアドビのアプリケーションで、レイアウトしていききます。文字数を数えると、26万字とかなり多く、概算で350ページ前後になるだろうと思われました。判型を小さくすると、ページ数が増え、オンデマンド印刷の場合、コストが上がってしまうので、小説にしては大きいかなとは思いましたが、『イルカ日誌』と同じサイズ(横15.6cm、縦23.4cm)にしました。これはアメリカの本の定型サイズ、6’14”、9’21”をそのままつかっています。組みが横組みなので、そして定型の方がアマゾンの機械にフィットしやいすいのではと思い、このサイズにしました。印刷機はおそらく、アメリカのものも日本のものも、ほぼ同じではないかと思います。
InDesignレイアウトは、『イルカ日誌』でつかったものをマスターとして、ほぼ同じレイアウトにしました。余白の取り方や柱のたて方といったものは、そのまま流用しました。『イルカ日誌』からマスターページを引いてくることができるので、スピーディーに作業ができます。ただ本文の書体は、今回、ゴシックを選びました。「横書きでゴシック」などという小説は、日本では他にないかもしれません。ゴシックを選んだ理由は、今回の小説は、日記や詩、手紙、民話など引用文が非常に多く、そちらは明朝体の方がふさわしいと思ったからです。また原著の『Disposable People』も、本文は太めのゴシックでした。小説のテイストとして、語りの口調として、ゴシックはふさわしいと思われました。
葉っぱの坑夫の本は、これまで出したもののほとんどが、ペーパーバックでもKindleでも横書きです。日本で出版されている日本語のほとんどは、本の種類によらず縦書きです。たとえば英語に関する本など欧文が出てくる本であっても、縦書きが優勢で、本をくるくる回しながら読むことがあります。なぜ横書きにしないのか、わたしには理由がわかりません。欧文が文中に出てくることは、最近の本では珍しくありません。一定量欧文がある場合は、横書きにした方が、読者に対して親切かなと思うのですが。しかし読者の方も、いや、日本語は縦書きで読みたい、という人も多いらしいので、多少不合理でも、縦書きが多くなっているのかもしれません。葉っぱの坑夫の考え方としては、「横であれば多くの言語が日本語と同じ並びで表記できる」ということで、合理性から横組みを選んでいます。
『ディスポ人間』はInDesignで組んだのち、CreateSpaceという米国アマゾン傘下のPOD(オンデマンドブック)制作会社のサイトに行って、ファイル(InDesignから印刷用PDFに書き出したもの)をアップロードします。翌朝にはデジタルプルーフがあがっていて、モニター上で校正や、外観のチェックができます。葉っぱの坑夫では、念のため、仕上がり状態を見るため、印刷したproofを注文しています。アメリカのアマゾンは、制作コストは日本と比べて非常に安く(ほぼ実費ではないか)、ただ海外輸送のため送料と時間がかかります。印刷と紙代で(ページ数により)250円〜600円くらい、送料で(スピードにより)2000円前後くらいです。
紙に印刷されたproofをまた最初から読み、何かあれば赤字を入れて修正します。画像が荒れていないか、大きさは適切かといった点についても、本として見た観点からチェックし、修正の判断をします。今回は、1回目のproofをとった時点で、表紙は仮のものだったため、もう1回、proofをとることにしました。その到着が9月末なので、アマゾン・ジャパンのエージェントへの入稿は、その後になると思います。エージェントは、KindleとPODとそれぞれのものがあり、別々に入稿します。
ところでKindle版の方は、Wordをつかってテキストと画像を配し、それをボイジャーのRomancerというネット上の変換システムでePubにします。これはとても便利なもので、無料ですし、簡単に変換ができます。Wordはパソコンに備えていないので(Macユーザーなので)、Office365というアプリケーションを月単位で購入してつかいますが、費用はかかっても、使いがいは充分あります。Romancerのことは、何年か前に知り合いが勧めてくれて以来、Kindle版制作につかっています。
Romancerで変換したePubは、Kindleに合わせるため、KindleGenまたはKindlePreviewerというソフトをつかってmobiファイルに変換します。これは自分で簡単にできます。ただ今回、いつもつかっているKindleGenがうまく作用せず、しかたなくKindlePreviewerをダウンロードして、こちらで変換しました。特に問題はなかったです。変換したmobiファイルは、自分のKindleデヴァイス(Paper WhiteとKindle Fire)に送って、表示や動作を確認します。ここをちゃんとチェックしておけば、販売されるKindle本はOKということになります。
『ワニ戦争』絵本版は、現在、デザインの仕上げにかかっています。日にちはまだわかりませんが、10月か11月には出版できるのではと思っています。『ディスポ人間』は10月初旬に出せそうです。
『ワニ戦争』はミヤギユカリさんの絵、角谷慶さんのデザインで、40ページ前後のフルカラーの本になります。オンデマンド印刷でフルカラーの本は初めての試みで、どのような仕上がりになるかの実験の要素もあります。アメリカのアマゾンにつづいて、日本でも最近になってフルカラーの印刷が可能になったので、これを試してみたいと思いました。ミヤギさんの絵は、ハーフトーンの少ないくっきりしたメリハリのものが多いので、うまく印刷されるのではないかと期待しています。
『ディスポ人間』は、当初から、サイト上での連載が終わったら、本にしたいことを著者のエゼケル・アランに伝えてありました。ですので連載終了直後に、ペーパーバックと電子書籍にする話を再度もちかけ、合意事項を記した簡易な契約書をつくり、あとは出版の準備をすればいい状態になっていました。サイトで連載していたときは、翻訳もそのときそのときのものになりがちだったので、すべてをプリントして、改めて読み直すことから始めました。(通しですべてを読むこともそうですし、また画面で見ているのと、印刷した紙面で読むのでは、違う発見があります。言葉の足りないところ、誤字だけでなく、かなりの変更、微調整をしました)
『ワニ戦争』は角谷さんにデザインを任せてあるので、レイアウトや素材の扱いなど、形にする作業はありませんが、テキストを短縮する作業が最初にありました。絵本版は絵を中心に、というコンセプトなので、テキストは必要最小限にしたいと思いました。オラシオ・キローガのテキストはそれなりに長いので、思いきってバサバサッと削っていきました。絵と言葉の組み合わせで、効果が出るよう、新たなテキストをつくりました。
『ディスポ人間』の方は、読み返すことで、連載時には気づかなかったちょっとした誤訳や勘違いが2、3ありました。見つければ、サイトの方もその時点で修正を入れました。ひとたび修正の入ったテキストは、InDesignというアドビのアプリケーションで、レイアウトしていききます。文字数を数えると、26万字とかなり多く、概算で350ページ前後になるだろうと思われました。判型を小さくすると、ページ数が増え、オンデマンド印刷の場合、コストが上がってしまうので、小説にしては大きいかなとは思いましたが、『イルカ日誌』と同じサイズ(横15.6cm、縦23.4cm)にしました。これはアメリカの本の定型サイズ、6’14”、9’21”をそのままつかっています。組みが横組みなので、そして定型の方がアマゾンの機械にフィットしやいすいのではと思い、このサイズにしました。印刷機はおそらく、アメリカのものも日本のものも、ほぼ同じではないかと思います。
InDesignレイアウトは、『イルカ日誌』でつかったものをマスターとして、ほぼ同じレイアウトにしました。余白の取り方や柱のたて方といったものは、そのまま流用しました。『イルカ日誌』からマスターページを引いてくることができるので、スピーディーに作業ができます。ただ本文の書体は、今回、ゴシックを選びました。「横書きでゴシック」などという小説は、日本では他にないかもしれません。ゴシックを選んだ理由は、今回の小説は、日記や詩、手紙、民話など引用文が非常に多く、そちらは明朝体の方がふさわしいと思ったからです。また原著の『Disposable People』も、本文は太めのゴシックでした。小説のテイストとして、語りの口調として、ゴシックはふさわしいと思われました。
葉っぱの坑夫の本は、これまで出したもののほとんどが、ペーパーバックでもKindleでも横書きです。日本で出版されている日本語のほとんどは、本の種類によらず縦書きです。たとえば英語に関する本など欧文が出てくる本であっても、縦書きが優勢で、本をくるくる回しながら読むことがあります。なぜ横書きにしないのか、わたしには理由がわかりません。欧文が文中に出てくることは、最近の本では珍しくありません。一定量欧文がある場合は、横書きにした方が、読者に対して親切かなと思うのですが。しかし読者の方も、いや、日本語は縦書きで読みたい、という人も多いらしいので、多少不合理でも、縦書きが多くなっているのかもしれません。葉っぱの坑夫の考え方としては、「横であれば多くの言語が日本語と同じ並びで表記できる」ということで、合理性から横組みを選んでいます。
『ディスポ人間』はInDesignで組んだのち、CreateSpaceという米国アマゾン傘下のPOD(オンデマンドブック)制作会社のサイトに行って、ファイル(InDesignから印刷用PDFに書き出したもの)をアップロードします。翌朝にはデジタルプルーフがあがっていて、モニター上で校正や、外観のチェックができます。葉っぱの坑夫では、念のため、仕上がり状態を見るため、印刷したproofを注文しています。アメリカのアマゾンは、制作コストは日本と比べて非常に安く(ほぼ実費ではないか)、ただ海外輸送のため送料と時間がかかります。印刷と紙代で(ページ数により)250円〜600円くらい、送料で(スピードにより)2000円前後くらいです。
紙に印刷されたproofをまた最初から読み、何かあれば赤字を入れて修正します。画像が荒れていないか、大きさは適切かといった点についても、本として見た観点からチェックし、修正の判断をします。今回は、1回目のproofをとった時点で、表紙は仮のものだったため、もう1回、proofをとることにしました。その到着が9月末なので、アマゾン・ジャパンのエージェントへの入稿は、その後になると思います。エージェントは、KindleとPODとそれぞれのものがあり、別々に入稿します。
ところでKindle版の方は、Wordをつかってテキストと画像を配し、それをボイジャーのRomancerというネット上の変換システムでePubにします。これはとても便利なもので、無料ですし、簡単に変換ができます。Wordはパソコンに備えていないので(Macユーザーなので)、Office365というアプリケーションを月単位で購入してつかいますが、費用はかかっても、使いがいは充分あります。Romancerのことは、何年か前に知り合いが勧めてくれて以来、Kindle版制作につかっています。
Romancerで変換したePubは、Kindleに合わせるため、KindleGenまたはKindlePreviewerというソフトをつかってmobiファイルに変換します。これは自分で簡単にできます。ただ今回、いつもつかっているKindleGenがうまく作用せず、しかたなくKindlePreviewerをダウンロードして、こちらで変換しました。特に問題はなかったです。変換したmobiファイルは、自分のKindleデヴァイス(Paper WhiteとKindle Fire)に送って、表示や動作を確認します。ここをちゃんとチェックしておけば、販売されるKindle本はOKということになります。
『ワニ戦争』絵本版は、現在、デザインの仕上げにかかっています。日にちはまだわかりませんが、10月か11月には出版できるのではと思っています。『ディスポ人間』は10月初旬に出せそうです。